熊本県八代市において呼吸器科内科・内科全般を専門に開業している【たかの呼吸器科内科クリニック】です。私は日常診療の傍ら、「一社くまもと禁煙推進フォーラム」の副理事長として、熊本県において受動喫煙の害の撲滅、未成年者の喫煙防止、禁煙希望者が禁煙しやすい環境の形成を目的とした社会的活動にも取り組んでおります。






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くまもと禁煙推進フォーラムでは、『敷地内禁煙と禁煙外来実践の要点ー受動喫煙のない環境のためにー』というテキストを作成し、ホームページで公開しています。そのうちに以下の論文を書かせていただきました。

第一章 禁煙の意義

疾患編 
喫煙と消化器疾患
喫煙と腎泌尿器疾患 
女性とタバコ

社会編
受動喫煙への曝露と健康への影響 

第三章 禁煙外来の実践
ニコチン依存症の病態
禁煙補助薬の概要 
禁煙無関心期の喫煙者へのアプローチ 
診療所における禁煙支援と喫煙防止活動 


第四章 熊本県における敷地内禁煙推進の取り組み
学校敷地内禁煙化の意義 
喫煙と社会環境 


第五章 資料集
タバコに関連した法律 
重要な喫煙規制通達等 
診療所における禁煙支援と喫煙防止活動



くまさん倶楽部への投稿文です



新聞への掲載文および投稿文です

▼ 「分煙」は無効 「全面禁煙」を
掲載紙:熊本日日新聞「読者のひろば」欄 掲載日:2011.7.28

 受動喫煙の害についてテレビでも話される産業医大の大和浩教授の実測データに基づく講演を県母性衛生学会で拝聴した。それによると、窓を閉め切りベランダで喫煙しても、レール部分から煙が室内に入り無効。換気扇の下で喫煙しても、すべては吸引されず、喫煙者が辺りの煙を引き連れてくるから無効。玄関前や庭で喫煙してもドアのすきまから入り込み、居間まで汚染される。遠く離れた屋外で喫煙してきても、喫煙者の吐き出す息には15分間以上有害物質が含まれており、喫煙者の呼気によって室内の空気が汚染される。要は非喫煙者が臭えばダメということだろう。分煙でなく禁煙しか家族への受動喫煙防止策はないようだ。 屋外で17m離れた場所で喫煙しても受動喫煙は防止できなかった。駅やバス停、路上など公の場の喫煙は禁止すべきではないか。歩きたばこは煙が喫煙者の後方へ流れるため、さらに広範囲に受動喫煙が起こる。 家族や公のため、家庭も路上も分煙ではなく、禁煙化が必要だ。

▼ 敷地内禁煙を 県内全学校で
掲載紙:熊本日日新聞「読者のひろば」欄 掲載日:2011.5.14

熊本市教委はことし9月をめどに、幼稚園を含む市立のすべての学校敷地内を禁煙化する方針を明らかにした。 喫煙者の7割程度はすでに禁煙の意向を持っていると言われる。学校の先生ならなおさらだろう。生徒や家族のためにもこの機会に禁煙を実行し、困難だった場合は、禁煙外来を受診されることをお勧めしたい。 学校活動や運動会では敷地内禁煙は守られるだろうが、放課後のクラブ活動、地域活動でも禁煙の規則が守られるよう、クラブ活動指導者や体育協会、地域の方々にもその旨をしっかり伝えておくべきだろう。一部では規則を守り、一部では守らない二重基準では、それを目の当たりにしている子どもの健全な教育は望めないからである。周知が行き届くまで、校門周辺の禁煙徹底やポイ捨て防止にも目配りが必要だ。 研究の結果、学校敷地内禁煙により、生徒の喫煙経験率が低下し、喫煙する先生の禁煙を促すことが分かっている。禁煙になれば受動喫煙の心配もなくなる。他の多くの都道府県ではすでに全県的に実施されていることである。基本的な喫煙防止策である敷地内禁煙がなされていない他の自治体や県立・私立学校でも早く敷地内禁煙を開始していただきたい。

▼ 先客万来には まず禁煙環境
掲載紙:熊本日日新聞「読者のひろば」欄 掲載日:2011.2.18

新幹線全線開業にあたり熊本では産業振興のための活動がなされています。客人には都市部や外国の方を期待されてのことでしょう。さて、今や日本の主要都市において、受動喫煙を受けることは少なくなりました。しかし、熊本では、駅、バス停、飲食店、ホテルなど多くの場所に喫煙所があり度々受動喫煙を受けます。昨年県議会は、国の受動喫煙防止策を無視し、独自に喫煙所を設置するという請願を採択しました。熊本は受動喫煙を防止しようとする機運が乏しいようです。7年前の世論調査でも受動喫煙を迷惑と考える人は7割、喫煙者だけみても4割以上は迷惑と回答しています。海外では、完全禁煙にすることで心臓や呼吸器疾患が激減しました()。もはや受動喫煙は迷惑を超えた問題となっています。 受動喫煙のない環境は、県外や外国のお客に来てもらうための必須条件です。行くたびに受動喫煙を受ける熊本。彼らはどう感じるでしょう。もてなしの好影響も霧散します。千客万来を望むなら、官民ともまず社会をたばこのない環境に変えるべきではないでしょうか。喫煙所を撤去し受動喫煙が全くなくなれば、熊本にはクリーンエアーという大きな付加価値が創造されます。

▼ 禁煙への挑戦 応援しています
掲載紙:熊本日日新聞「読者のひろば」欄 掲載日:2010.12.26

値上げを機に禁煙されている多くの方に禁煙外来医として申し上げます。ニコチン禁断症状は3~7日がヤマです。完全禁煙後2~3カ月経過した皆さまはすでに身体的依存を克服されています。今はひどいイライラは軽減し、時々吸いたいと思うくらいだと思います。この症状も禁煙継続によりさらに軽減していきます。禁煙してよかったことを考えてください。お金の節約、楽な呼吸、気にならない体臭、おいしい食事、たんの減少、健康不安の解消、家族の歓迎。よいことはたくさんあります。体重増を心配する方もいるでしょう。禁煙後2~3キロの増加は正常です。運動と炭水化物や菓子等の制限で徐々に体形は戻っていきます。喫煙はニコチン依存という病気です。1本くらいと甘くみると、わずか1本の喫煙によりニコチン依存が再発します。われわれはこれを「1本だけおばけ」と称し、戒めています。1本だけおばけは、酒席や行動の合間にふと出てきます。ここで本当に喫煙をせず、時をかせぎ、冷水を飲み、深呼吸や体操など他のことをしてください。おばけはすぐ消えます。そして数年後は出てこなくなるでしょう。生活をたばこのない環境にすることも大切です。すばらしい挑戦を応援しています。

▼ タバコ環境と疾患・禁煙のすすめ
掲載紙:熊本日日新聞「呼吸器疾患の予防と治療」欄  掲載日:2010.12.10

たばこを吸うと寿命が縮むといわれます。研究によると、寿命は平均4~10年短くなるようです。寿命は短くなりますが、寝たきり期間は、逆に5年長くなるというデータもあります。最近の調査では、すぐ禁煙したい人が2割、いつか禁煙したい人は6割もいますが、なかなかやめられないのが現実のようです。それは多くの喫煙者が「ニコチン依存症」という病気になっているためです。日本の喫煙者の8割は、未成年のうちに喫煙が常習化しています。文科省が行った調査によると、母親が喫煙する場合、その子どもに喫煙の傾向が強く見られます。未成年の喫煙を防ぐには、たばこのない「無煙環境」をつくることが重要です。学校を全面禁煙にしたことにより、生徒の喫煙指導件数が激減したという広島県の実例もあります。全国の8つの都道府県では既に全ての学校の敷地内が完全に禁煙となっています。しかし残念ながら、熊本県は2001年時点で18%と全国最低です。未成年者の喫煙とともに受動喫煙をなくすことも重要です。換気扇の下やベランダで喫煙すれば回避できると思われがちですが、たばこの有害物質は、換気扇から完全に排出されず室内を漂い、受動喫煙がおこります。さらに、有害物質は喫煙者の衣服に付着し、吐く息からもでてくることが明らかになっています。カナダでは、受動喫煙防止のための法律を制定しました。公共の場、職場の禁煙に加えてレストランを禁煙にした段階で、大きな変化がおこりました。心筋梗塞の発生が17%、心臓血管疾患が39%、せきやぜんそくなどの呼吸器疾患は30%も減少したのです。このような公共の場の完全禁煙の効果は他の国からも次々に報告されています。厚労省は、国内の受動喫煙による死者が年約6800人に上ると推計しています。たばこのない環境は、未成年の喫煙防止、受動喫煙防止のために必須です。そのためには、灰皿をなくすことが近道です。禁煙して後悔する人はいません。その環境作りのため、ご協力いただければ幸いです。 Q たばこを吸い続けると、体にどんな悪影響が出ますか。やめる方法は。A 喫煙は、肺や気管支の病気のほか、心臓病や脳卒中などを引き起こします。認知症の患者さんにも、喫煙者が多いことがわかっています。たばこをやめるには①自力でやめる②薬局で薬を買って使う③医療機関の禁煙外来を利用する―という3つの方法があります。①と②を成功させるコツは、やめようと思う日を決め、その日からきっぱりとやめること。③は医師の助言を受けながら、禁煙補助のための飲み薬や貼り薬を使う方法です。治療期間は3カ月で、成功率は約7割です。保険が適応されれば、おおむね2万円弱の予算で、禁煙治療が受けられます。

▼ たばこ関係者支援し禁煙を
掲載紙:熊本日日新聞「読者のひろば」欄 掲載日:2010.10.20

厚生労働省研究班は日本の受動喫煙による死者が年6800人になると発表した。熊本県では年97人が死亡している計算になる。アスベストは、吸入により平成22(2010)年まで年平均3000人が死亡と推計され、使用禁止となった。受動喫煙はアスベスト以上の死者数である。たばこの煙との共存は難しい。望まない死亡抑制のため規制は道理だ。県議会において、熊本県における「受動喫煙防止対策」の現実的な対応を求める請願採択された。趣旨はたばこ関連産業と喫煙者の権益のため、喫煙場所の確保・整備により、非喫煙者と喫煙者が共存できる社会の実現とある。科学的検証の結果、受動喫煙防止には完全禁煙のみが有効だと世界は認めた。煙は薄まっても有害である。煙との共存では、市民の8割になる非喫煙者は至る所でたばこ煙を吸入してしまう。議事録には科学的検証をした形跡はない。議会は科学的根拠に基づいた国の禁煙施策を過度な規制と否定した。県は灰皿設置を推進していくのだろうか。死者がでている事態である。独自の議決の科学的根拠を示すべきだ。たばこ関連産業の多い熊本だからこそ、たばこ規制枠組み条約にある関係者の転作・転業への金銭的支援を他県に先駆けて実施し、一方で受動喫煙防止のため禁煙を推進するのが、県や議会の本来の役割ではないだろうか。

▼ 受動喫煙減へ 灰皿は撤去を
掲載紙:熊本日日新聞「読者のひろば」欄 掲載日:2010.4.18

国は「公共の場は原則として禁煙」とするよう求める通知を自治体に出した。多くの人が受動喫煙を受けている日本では、推計で年間1万人以上の人が死亡しているためだ。 禁煙に灰皿は無用の長物のはずだが、撤去をせず建物の入り口に移動する施設が多い。灰皿は消すためではなく、そこで吸うためのものとなり、利用者すべてが受動喫煙を受ける。入り口にまん延する煙は建物内にも入り込む。喫煙者の7割は、本心では禁煙したいが、ニコチン依存のためできないという。それなら喫煙者に厳しくみえる灰皿撤去も、本心を実現しやすい環境と言える。禁煙した人は受動喫煙を受けるたびに「今まで迷惑をかけていた」と感じるという。喫煙中は、自身の発した煙の行方はわからないものらしい。 4千種の化学物質、200種の有害物質を含む煙の行方を、モラルで制御できれば苦労はない。年間数千人の交通事故死を防止するため法規制がある。受動喫煙による死亡数はそれ以上である。受動喫煙防止に禁煙という規制は必要だろう。 灰皿を据えれば受動喫煙が起こる。灰皿の撤去が受動喫煙死を減らすことは、海外で証明済みである。受動喫煙を容認する灰皿「移動」をやめ「撤去」を求めたい。 参考資料:受動喫煙とおとなの健康:ファクトシート

▼ 無煙環境こそ 喫煙の防止策
掲載紙:熊本日日新聞「読者のひろば」欄 掲載日:2010.2.22

本紙に「熊本保健科学大、県内大学初 全面禁煙へ」という記事が掲載された。志は「模範を示す」ため。主役である学生のための環境を整えようという高い志に拍手を送りたい。私の学生時代、医学部はたばこ煙がもうもうと漂う喫煙環境だった。喫煙の害、ニコチン依存などの喫煙防止のための防煙教育もなく、たくさんの医学生が喫煙していた。この環境で喫煙を始め、ニコチン依存になった同窓をたくさん知っている。医学生ですらこの様である。あらゆる喫煙環境から喫煙者が生まれ、ニコチン依存症になっていく。英国の研究では、喫煙規制のない学校の学生喫煙率は30%、分煙では21%、敷地内禁煙では10%であったという。広島では全県立高校を敷地内禁煙にした後、喫煙指導件数の減少が加速し激減した。「喫煙しない模範」の大きな効果である。人は環境の影響を受ける。日本では年間1万人以上が喫煙により死亡している。学校も保護者も、学生に喫煙者になって欲しいと思う人はいないだろう。熊本保健科学大にならい、全ての教育機関は敷地内を禁煙化してほしい。たばこ煙のない「無煙環境」の提供こそが一番効果のある喫煙防止策である。

▼ ドラマの「卒煙」 喫煙シーン要らない
投稿紙:熊本日日新聞「読者のひろば」欄 投稿日:2010.1.27

TBSの番組で特上カバチというドラマがある。この中で主演の堀北真希さんは役柄上喫煙する。非喫煙者である堀北さんはドラマのために「喫煙の練習」を1カ月もしたそうだ。 たばこには強い依存性があり、4本吸えば90%以上の確率でやめられなくなると言う。実生活でニコチン依存症になれば、彼女は今後がん、慢性閉塞性肺疾患、心臓病、脳卒中など多くの病気のリスクを抱え寿命を縮める。歯周病、肌のしわやしみ、骨粗しょう症など老化の促進が起こる。将来自身の子への悪影響もある。(参照:厚生労働省タバコ病辞典)人気女優がドラマで喫煙してみせれば、女性の喫煙者が増えることは確実である。若者がよく見るこのドラマでは、他の女性の共演者も多く喫煙する。若者にドラマや映画の影響は大きい。役者もドラマをみて喫煙者になる若者も不憫だ。悪役やくつろぐ場面を演じるのに喫煙シーンを使うことから、テレビも映画も自律的に卒業してはどうだろう。たばこからの卒業を「卒煙」と言う。ドラマの卒煙は役者だけでなく、視聴者にもよい影響を与える。他国はすでに卒煙している。折しも今年の世界禁煙デーは、女性向けたばこ販売に関するテーマである。

▼ 家庭と学校は「無煙環境」に
掲載紙:熊本日日新聞「読者のひろば」欄 掲載日:2010.1.13

小6男児が撃ったエアガンの弾が別の男児の目に当たり重傷を負わせたという事件が昨年11月起きた。エアガンは家にあったらしい。子供は何にでも興味を持つ。危険なものを置いて「触ってはいけない」では事故がおきる。初めから置かないことが肝要だ。ところで研究によると、日本人の喫煙経験は14歳で5割に上る。常習化は16歳で5割である。喫煙者の8割は20歳未満で常習化している。概算すると、熊本県では10万人の未成年者が喫煙している計算になる。未成年期に身近にあったたばこを好奇心で吸い始め、ニコチン依存となり成人以降もやめられないのが喫煙の実態である。成人式会場で恍惚の表情で喫煙する若者を見れば納得する。子供の周りには多くの喫煙環境がある。子供にとって分煙とは、毒のある物を裏で食している大人が食べてはいけないと諭している状態。食べてしまうのが子供だ。その大人も昔好奇心で始めたのだ。喫煙により毎年11万人もの人が死亡している。若年からの喫煙は最も害が大きい。たばこは危険なものである。熊本県の公立小中高校で敷地内禁煙をしている学校の割合は全国最低。家庭と学校は初めからたばこのない「無煙環境」にすべきではないだろうか。

▼ たばこ増税で 喫煙減り賛成
掲載紙:熊本日日新聞「読者のひろば」欄 掲載日:2009.12.4

民主党の政策集通りにたばこ増税が提案された。大賛成だ。増税になれば喫煙者は減る。その結果、喫煙による病気と年間11万と言われる死者も確実に減る。受動喫煙も未成年者の喫煙も減る。受動喫煙を減らすための労力も減る。安易な大衆いじめとの批判がある。3度の飯と違い、たばこはなくても生きられる。喫煙者はニコチン依存のためにやめられないだけで7割はやめたいのだという。診療の場で尋ねると、喫煙者は子や孫には喫煙してほしくないと答えるが、それがたばこに対する本音だろう。税収減を声高に言う政治家がいる。国民の健康より金のことを第一に考える政治が今の時代必要だろうか。増税で困るはずのたばこ店主が言った。「好きで売るのではない。客の体を壊しているのだから。だが生活もある」。アフガン人が言った「好きで大麻を作るわけではない」と同じ構図である。日本が批准したたばこ規制枠組み条約では代替業への支援が明記されている。増税を実施して得た資金をたばこ店や農家の転業支援に使うべきである。支援実施のためにも増税は大幅がよい。それが喫煙者も望んでいる子や孫の喫煙防止に役立つのである。

▼ 禁煙が基本と認識を変えては
掲載紙:熊本日日新聞「読者のひろば」欄 掲載日:2009.10.29

熊本市内の飲食店で「禁煙ですか」と尋ねると「いえ吸えますよ」と期待はずれの返答がくることが多い。店員の認識は「喫煙が基本」なのであろう。昭和の時代、社会は男性中心で大多数は喫煙者であった。飲食店も、ホテルも、旅客業も、応接室も、学校や病院でさえも「喫煙が基本」であり、灰皿を用意することはもてなしであった。時代は変わった。喫煙者自身への健康被害以外に、たばこを吸わない人が周囲にただよう煙を吸うことによる受動喫煙の害も明らかになった。日本の受動喫煙による死者は年間1万人に上るという。世界保健機関は「受動喫煙に安全レベルはない。排気も空気清浄機も役に立たない。完全禁煙のみが有効」と警告している。他国では公共の場などで禁煙法が施行され、受動喫煙がなくなり心臓病死が減少している。日本の成人の「非喫煙率」は75%、全人口のそれは80%。日本人のほとんどはたばこを吸わない。基本とすべき仕様は明白である。世界のかなりの国が法的規制で禁煙に向かっている。他国にできることを日本ができないはずはない。「禁煙が基本。灰皿はないのが当然」と認識を変えてはどうだろう。それが社会を変える力になる。

▼ 依存症対処に「控える」ダメ
掲載紙:熊本日日新聞「読者のひろば」欄 掲載日:2009.9.22

飲酒運転とひき逃げ容疑で逮捕された警官がアルコール依存の疑いであったことが報じられた。これまで福岡県警は「酒を控える」よう指導していたそうである。本人も「控える」と約束はしていたらしい。今後県警は専門医と連携するという。正しい対処であると思う。禁煙治療の立場から、依存治療に「控える」とか「減らす」という概念はない。「節煙ではなく断煙」である。アルコール依存の治療でも「節酒ではなく断酒」を指導するという。自らの意思でどうにもできないから依存症なのである。 依存が解決しにくい要因として、社会や周囲が「自分の意思や努力で対応できるだろう」と思いやってしまうことがある。日本の飲酒人口は6000万人。アルコール依存はその8%とのデータもある。喫煙人口は2600万人で、ニコチン依存は実にその約7割を占める。「控える」という言葉が問題を先延ばしにする。簡単に7日程度もやめられない、「わかっちゃいるけどやめられない」のは依存のためである。アルコールやたばこへの依存症の方は数多くいる。まず周囲が依存の問題に気付き、専門医療機関受診を勧めてほしい。

▼ たばこは薬物 喫煙は「病気」
掲載紙:熊本日日新聞「読者のひろば」欄 掲載日:2009.8.20

芸能人の覚せい剤使用が連日の話題となっている。覚せい剤は脳を刺激し、ドパミンという脳内物質を分泌させ、使用者に快感をもたらす。得られた快感は一時的なため、その快楽を求め、覚せい剤使用が繰り返される。この怖い覚せい剤と同じ作用をするものが我々の身近にある。たばこである。覚せい剤使用者はまず喫煙しており、専門家はたばこを入門薬物とみる。たばこに含まれるニコチンは、覚せい剤と同様脳を刺激し、ドパミンを分泌させ快感をもたらす。ニコチンが切れるとイライラし、吸うとホッとしストレスがとれる「感覚」を覚える。この繰り返しにより、ニコチンへの依存とたばこはストレス解消になるという認知が形成される。喫煙が毎日休みなく続く理由である。診療でニコチンの禁断症状に苦しむ人をみるにつけ、たばこは自分の意志で好きで吸っているのではなく、依存性のある薬物であることを実感する。現在、ニコチン依存症は保険で治療が可能である。覚せい剤だけではなく、たばこは薬物であり、喫煙は脳の病気(たばこ病)であることに多くの人が気付いてほしい。



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